2024年10月1日火曜日

精霊の森 spirits in the forest (exhibition)



 精霊の森 spirits in the forest (exhibition)

148×210×15mm (A5サイズ)
 
全カラー ページ数94P(作品数41)

ソフトカバー





精霊の森は、今までの集大成のような節目の作品になる。森で生まれた作品なので、海に帰したかった。海岸が近くて静かな場所。これ以上はないという理想郷を見つけたので即契約。精霊もきっと喜んでくれるだろう。






展示初日、朝一番で撮影した写真に、巨大な霊(たま)のようなものが映っていた。




これは直前の写真。レンズに水滴のようなものが付いていたとしても、なぜかこのときには映っておらず、左にパーンしたときにはじめて霊(たま)が現れる。つまりこの139枚の絵から光が飛び出してきたような構図。その間数秒でレンズには一切触れていない。ちなみにこの139枚の絵は正確に海の方向に向いている。

この展示はそもそも森の魂を海に帰したいという直感から始まって、それに見合うように空間をレイアウトした。絵を見せる、売るための個展ではなく、魂を帰す儀式のつもりだった。だからひやかしを避けるためにDMも一切出さず、宣伝もしなかったし、精霊の森を購入した人以外には場所も伝えていなかった。

だからこそ、この徴(しるし)は儀式が遂行されたことを示すひじょうに重要なものだった。

展示期間中の五日間、毎日同じ条件で朝と夕方に撮影したが、徴が現れたのはこの初日の朝一番と、神山から霊(たま)を持ってきてくれた東京の方を撮影した夕方だけだった。それ以外には問答無用に一切映らない。だからこそ、この偶然という名の奇跡が物理空間に滲み出た異次元のエネルギーだと確信できた。



物理空間という制限のなかで、100%に近い状態で自分のやりたいことがやりたいようにできたと思う。そしてなにより嬉しかったのが、徴が頻繁に現れたことだった。運転中で撮影できなかったのが残念だけど、帰り道では毎日龍雲だらけで、青い龍から赤い龍に変わるグラデーションがとても美しかった。




そして今回の展示のもうひとつの目的がこの本、精霊の森シリーズは規模が大きくて一冊には収まらずに、二冊目のオープニングにどうしてもこの構図が欲しかった。背中を押されるように制作を進めた。




森の中での制作風景を含めた図録なので、展示を見た方も見なかった方も楽しめる内容だと思います。普通なら図録は展示前に作るのだけど、物理的に無理だった。過去から未来を描くのではなく、未来から過去へと流れていく時間の中に、永遠の現在があったから。









制作を通して降りてきたメッセージ。結局自分はこれが伝えたかったんだと思う。